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第三者割当増資に規制の網

東京証券取引所は2009年の夏を目標に、第三者割当増資に規制を導入する。 2006年4月から2008年3月までの間に、新株発行が増加し、株式の希薄化を招いているのではないかと、東京証券取引所がこれを問題視したためである。

[第三者割当増資が問題視されたケース]

投資家を混乱させた第三者割当増資の具体例としては,2007年9月の東証のマザーズ上場の結婚式場運営会社のケースがある。この会社は,発行済株式数の約30倍に相当する極めて大量の新株予約権の発行を可能とすることを目的として、10株を1株に株式併合して発行済み株式を圧縮したうえで、ファンドを割当先として大量の新株予約権を発行するとした。
新株予約権が行使されるとファンドは当該会社の筆頭株主になる内容で、東京証券取引所は,流通市場への混乱をもたらすおそれがあるとしてとして公表措置をとり(上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則」第1条の4第2項の規定),投資家に注意喚起したのである。

1.第三者割当増資とは?

第三者割当増資とは、会社の資金調達方法の一つであり、取引先や提携先の企業など特定の第三者または特定の株主に新株を引き受ける権利を与えておこなう増資のことである。
会社法上,公開会社が第三者割当増資をする場合,定款に定められた授権株数の範囲内であれば、取締役会決議で行うことができるのが原則である。これは,経営戦略の遂行に合わせて機動的な資金調達を可能にするためである。もっとも,第三者割当増資を無制限に許すと,既存株主の経済的利益を害するおそれがある。そこで,市場価格よりも有利な価格で発行する際には,例外的に株主総会の特別決議を必要としたのが、会社法の枠組であった。

2.上場制度総合整備プログラム

東京証券取引所は、2006年6月,上場会社の企業行動と投資者保護の調和を推進するための実行方針として「2006年 上場制度総合整備プログラム」を公表している。その中で,具体案を検討のうえ実施する事項(第二次実施事項)として,第三者割当増資の実施等について開示内容や手続き面を中心に整理するとされた。
そして,「2007年 上場制度総合整備プログラム」の中,直ちに実施する事項(第一次実施事項)として,第三者割当増資に関する開示の充実を図ることが挙げられ,第三者割当増資に対する規制が,前年度より重要視されるようになった。
さらに,「2008年 上場制度総合整備プログラム」の最重点課題として,上場会社のコーポレート・ガバナンス向上に向けた環境整備が挙げられ,その具体例の一つとして,大幅な希釈化を伴う新株式等の発行が挙げられた。このように,第三者割当増資に対する規制が,年々重要視されるに至っている。

3.著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスに関する要請

そこで、東京証券取引所は,2008年10月,上場会社に対し,著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスに関する要請を発表した。すなわち,株主の持分割合の著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスは、仮に法令に違反するものでないとしても、株主の権利を損なうおそれがあるものとし,流通市場の機能及び株主の権利に十分配慮するように要請しているである。
また、東京証券取引所は,2009年の夏を目標に、第三者割当増資に規制を導入することにした。東京証券取引所が第三者割当増資を不適当と判断した場合には,公表措置により市場に注意を促し,違約金を科し、特に悪質な場合には,上場廃止も検討するとの内容が盛り込まれる見込である。

4.今後の動向

(1)政府の動き:金融審議会〜上場会社の資金調達ルール厳格化〜

金融審議会の研究会は,2008年12月に開いた会合で、上場会社等のコーポレート・ガバナンスのあり方について審議した。その中で,上場企業の資金調達ルールを見直す議論を始め,第三者割当増資に対し,既存株主の利益を守るため一定の制限を加えるべきだといった指摘がなされた。

(2)現状における注意点

会社法が要求する以上に、東京証券取引所が事前規制を設けることは、上場会社の機動的な資金調達や業務提携を妨げることになりかねない。
しかし,すでに,東京証券取引所は「要請」という形式によって,第三者割当増資に対する規制を強めているから、企業が,企業再編等のために多額の資金調達が必要な場面に直面する場合には,東京証券取引所の「要請」に配慮した第三者割当増資を検討する必要がある。

以上

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